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(7)通学車内は「動く勉強部屋」、上手に活用


「少年老いやすく学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず」。中国の儒学者・朱子の言葉ですが、受験生は入試本番の日まで、寸暇を惜しんで勉学に勤しまなければなりません。時間をいかに勉強時間に振り向けるかが成功の極意であることは前回も書きましたが、とりわけ、通学時間は貴重な勉強時間だといえます。この時期になると、それを最大限に活用しないことには合格は望めません。

通学に利用している電車、バスを「動く勉強部屋」と心得てほしい。往復に、2時間ぐらい費やしているのは珍しくありませんし、それ以上の人もいるはずです。この時間を無為に過ごす手はありません。ラッシュ時の車内で教科書や問題集を広げるのは無理なうえ集中もできませんが、教科書を開かずとも、勉強方法はあります。

ラッシュ時の「動く勉強部屋」の活用法は、暗記科目を中心にすることです。手元のMDやCD、テープレコーダー、ICレコーダーなどに録音した前日に勉強したことや暗記ものを聞けば、暗記・復習ができます。騒々しい車内では集中が難しいと思いがちですが、私の体験では、むしろ「雑踏の中の孤独」を感じられる車内の方が、集中力が高まるはずです。

能楽師の例ですが、自宅の練習よりは、移動中の電車、飛行機などで覚えた方が、謡の暗記ははるかにはかどると言います。家では、どうしてもテンションが下がるそうです。若いころは私も、電車の中やプラットホームでよく勉強した記憶があります。そのとき、夢中になって学んだ四書五経をはじめとする中国古典は、今でもそらんじることができるほどです。

暗記科目の復習中心の勉強とはいえ、必要な単語集や例文集、年号や歴史事項の暗唱ガイドなどは、常にバッグに入れて持ち歩く習慣をつけておくべきです。分厚くて携帯に不便な本なら、自分で分冊したり、問題集や参考書などは二冊買って、一冊はハサミで切って覚えやすい形に工夫するなど、移動勉強空間の教材を自分で作るのも一考でしょう。通学時の勉強時間は、乗り換えなどで中断され、細切れになるかも知れませんが、塵も積もれば...です。合計すれば、膨大な勉強時間の創造に等しく、学習量も大変なものです。さっそく実践を―。