過去の問題に取り組む目的は、前回述べたように(1)出題傾向(2)出題方式(3)難易度(4)合格点を知り、これからの受験勉強に役立てることにあります。出題傾向などがつかめれば目的は達成したことになりますが、それを一歩深く進めるのが、受験対策の極意です。せっかく志望校の出題と取り組むのですから、本番に即した受験対策の場に活用すべきです。どうするのか。
第一は、実際の入試と同じ制限時間を設定して問題に取り組むこと。試験時間が六十分なら六十分以内で挑戦し、時間配分を感覚的に身に付ける訓練です。
二番目は、きっちりとした正答チェック。正解出来なかった問題は、正解できるまで、徹底的に攻略する心構えが必要です。間違えた場合は、単なるケアレスミスなのか、知識不足が原因のミスなのか、考え方が根本的に間違えていたためのミスなのか、きちんと確認して、必ず正解が書けるようにしておく。正答が手元にある過去問題にチャレンジしながら、正解できなかった問題をほったらかしにする受験生もいます。そのような受験生に限って、他の問題集をやっても、間違いを放置したまま、次の問題、次の問題と単に消化することだけに走っているのではないかと思います。過去問題であれ問題集であれ、間違えた問題は、正解できるまで必ず何度も何度も繰り返しチャレンジする。これが必勝の受験勉強法なことをお忘れなく。
もう一つ、過去問題をやる際は、年度別に全教科を処理するやり方ではなく、教科別に取り組むこと。これも大切な心構えの一つです。英語なら英語だけ、数学なら数学だけを古い年代順にやっていけば、出題傾向や出題方式がはっきりして、自分がどの分野に力を入れて受験対策を進めればよいか、勉強法が明確になるからです。
受験生にとって最も気になる合格点ですが、ほとんどの学校が配点を非公開にしている関係上、正確な得点を計算するのは困難なのが実情です。とりわけ記述式問題の得点計算は難しく、大体の得点を自己判定するしかありません。正確な配点が不明なのはもどかしい限りですが、出題数などから、おおまかな得点を割り出すことは可能なはずです。今の段階で、合格点に達しているかに、神経を使う必要はありません。