長かった夏休みが終わった。いよいよ受験勉強は実践モードに入る。夏休みを振り返って、勉強が計画通りに進み、一層やる気に燃えている受験生がいる一方、期待した成果が上がらず、不安感や焦燥感にさいなまれている受験生もいることと思います。しかし、過去を引きずる形で、いたずらに焦ったところで合格は望めません。ここは一つ、視点を切り替えて、試験日までの限られた時間を有効に使うことを勧めます。
実践に即した受験対策に、効果的な一例を挙げると、入試に出題された過去の問題を活用した勉強法です。入試問題は、大学側の「志望者には、この程度の問題は解いてほしい」というメッセージでもあります。出題からそのメッセージを読み取り、十分に応えられなければ、合格は難しくなります。過去の問題はそれを知る大きな手がかりです。志望校もある程度の絞り込みを終えたこの時期は、ぜひとも、第一志望校―第三志望校の過去の問題を入手し(1)出題傾向(どんな問題が出題されるのか)(2)出題方式(記述式が多いか、選択問題が多いかなど)(3)難易度(どれくらいのレベルの問題が出題されるのか)(4)合格点(何点くらいとれば合格できるのか)を含めて、実践的な傾向と対策を練ってほしいところです。
入試では、同じ問題が出題されるケースはまずあり得ませんが、大学には、それぞれ特徴的な出題傾向や出題方式があります。センター試験がよい例で、頻繁に出題される分野を中心に勉強すれば、効果的であるのはいうまでもありません。また、難易度や合格点を知れば、どこまで踏み込んで勉強をすべきなのか、到達目標が明確になります。その結果、いたずらに掘り下げるといった無駄が省け、より効率的な勉強ができます。入試本番まであと半年あまり。残された時間をフルに活用するためにも、志望校の出題傾向を知り、問題形式に慣れておくことは必要不可欠です。孫子の兵法にいう「敵を知り己を知らば、百戦危うからず」です。過去の問題を通じて志望校の出題傾向を知り、着実に自分の弱点を補強する。その努力を怠らなければ、必ずや合格の栄冠を勝ち取れる。そう信じて、これからの受験勉強に邁進(まいしん)することが大切です。