子供に家庭教師をつけるとき、誰しも「良い、能力の高い先生を」と願います。ところで、良い家庭教師、能力の高い家庭教師の条件とは、何を尺度に決めるのでしょうか。第一に、教え方が上手であることです。当たり前の話ですが、子供が理解し難い内容でも、子供のレベルに合わせて、理解させる能力を身につけていなければ、何の役にも立ちません。学力が伸ばせなければ、どんなに人柄が誠実であろうと、指導に熱心であろうと、良い家庭教師の評価は得られません。
第二の条件は、子供の学習意欲を引き出す能力にたけていることです。教え方が上手であることと重複するかもしれませんが、学習意欲を高めることが成績上達にも結びつくわけで、学習意欲を引き出すことも重要な要素になります。意外に重要なのが、教師と子供の相性。フィーリングが合うかどうかも非常に大切です。大勢の生徒を同時に教える学校、予備校、塾の場合は、先生と児童・生徒との相性の善しあしはさほど問題ではありませんが、一対一で教える家庭教師の場合は、最悪の場合、相性が合わないばかりに、子供が勉強を投げ出してしまうケースもあります。子供の学習意欲を減退させる原因は、このようなケースが意外に多いというのが実態です。
この三点が大きくは選択肢の条件に挙げられます。家庭教師をつけたのに成績が急降下した、では何の意味もありません。万一、経験も実績も豊富な先生をつけたにもかかわらず、成績が思うように伸びない場合は、教師の能力を疑う前に、子供に相性を聞くことを勧めます。相性は悪いだけが問題ではなく、合いすぎて友達感覚で、勉強をそっちのけで遊び合って時間を費やしている場合もありますので、その点も要注意になります。最悪の状態に直面した際は、心を鬼にしてでも家庭教師をクビにすることです。人間関係を気にする余り、ズルズルと時間をかけても、問題は解決しませんし、一秒をも惜しい受験生にとって、取り返しのつかない事態になりかねません。受験生がこの時期になって問題集や参考書の浮気をするのは禁物ですが、こと家庭教師に関しては例外です。より柔軟に家庭教師を代えるか、予備校などへ針路を変更することも一考です。