今回は少し角度を変えて、受験生とパソコンの"功罪"について書いてみたい。昨今は「パソコンを自由自在に使いこなせないと、一人前じゃない」というような社会風潮もあって、中学生や高校生になると、パソコンを買って与える家庭が少なくありません。しかし、受験生にとってパソコンは「百害あって一利なし」とは言わないまでも、マイナス面の方が大きい。
その代表例が、漢字の書けない若者が増えていること。今のパソコンはうろ覚えの漢字でも、言葉をキーボードに打つだけで、適切な漢字が表示される漢字変換機能を搭載している。このため辞書をひき、手書きすることで正しい漢字を覚えるという行為が、高校生の間で薄らいでいるのが実態です。辞書を引かないから、漢字の意味などの知識も乏しくなる。
忘れては困るのが、入試はすべて手書きという現実。仮にパソコンに表示された漢字を見て「確か、この字だ」と見分けがついても、国語の試験で実際に書けなければ、何の役にも立ちません。時代が進んだとはいえ、試験場にパソコン持ち込みを許可した話は聞いたことがありません。
結論を先に書けば、受験勉強にパソコンは不要と断言します。これは、受験生を抱える親へのアドバイスになりますが、若者にとってパソコンは、刺激のある遊び道具でもあります。朝から晩まで、メールやチャットをはじめゲームなどに夢中で、勉強どころではない人もいます。よほど自制心の強い子でない限り、安易にパソコンを与えるのは考え物でしょう。インターネットなどで、欠かせない物ならば、家族共用に居間などに置き、少なくとも受験勉強の妨げになる子供部屋からはパソコンの排除を勧めます。
受験期にパソコンを封印したからといって、子供の将来に支障など生じません。若者にとって、パソコン操作は難しいものではなく、早期教育など必要としません。ただ、個人用に与えている場合は、話し合いが必要で、問答無用で取り上げると、ヘソを曲げて受験勉強を投げ出す子供もいますので、逆効果にならないよう注意を払ってください。受験に大事なのは、知識の蓄積。そのことを納得させれば、受験期に限定した排除など、何の問題もありません。