必須受験科目の場合でも、嫌いな科目に、物理をあげる受験生が少なくありません。その理由に「受験勉強に時間を費やす割には、得点が伸びない」が一つにあるようです。
物理は、それなりに学問体系が存在する科目だけに、取っ付き難いと映るのでしょう。しかし、理屈さえきちんと理解できれば、苦手意識を抱いている人にもさほど難しい科目ではありません。受験時の目安になる"得点力"の面で言っても、数学に比べて伸ばしやすい科目にあげることができます。「得点が伸びない」が嫌いな理由の人は、もしかすると、勉強のやり方が間違っているのかもしれません。それは解答法の求め方にあります。「公式を使って解く」というプロセスは、数学と似ていますが、物理は数学との違いを学問体系という点から見ると、まったく異なっているからです。
高校レベルの数学には「なぜこの公式を適用するのか」といった理論説明、つまり基礎理論はほとんど必要としません。分かりやすく言うと、公理に基づいた経験則に頼らざるを得ないのが、高校の数学なのです。対して物理は、それなりに学問体系のある科目といえます。物理は高校生が学ぶ理科の中で、初歩の部に属しますが、学問体系に沿いながら「こうだからこうだ」という風に、理詰めで考えていくことが不可欠です。
それができれば、自然と答えが導き出せる科目が物理なのです。一例をあげれば、高校生が習う力学は、運動方程式系と運動量系とエネルギー系の三つしかなく、それぞれが論理的に説明されています。その基礎理論をきちんと理解できれば、ある程度の問題は難なく解けるようになり、受験本番でも得点力がアップするようになります。
物理が伸びない、苦手だと悩んでいる人の多くは、そのことを理解できずに、「こういう問題にはこの公式を適用する」といった、公式の適用法をメーンにした間違った勉強をしているケースがほとんど。それでは物理は伸びません。力を付ける物理の勉強法は、地道ですが、基礎学習となる公式の適用法を習得できるまで、しっかりとやることに尽きます。そのうえで、複合問題に数多く挑戦し、基礎学力の反復練習を行う中で、粘り強い思考力を磨いてほしい。