志望校を絞り込む際には、受験科目数を考慮する必要があります。国語、英語、社会が主流の私立大学文系と六教科九科目の国公立大学では、受験の取り組み方がまったく異なるからです。受験は時間との勝負でもあります。暗記勉強法が有効な基礎学力を問う私大文系の場合は、新三年生になってから受験勉強を開始しても時間的には十分に間に合います。
しかし、早稲田、慶応など一般に難関私大理系といわれる大学や医学部、国公立は数学が必須科目で、しかも配点に占める割合が高く、受験勉強にはかなりの時間を割く必要があります。とくに現役受験生にとっては、受験科目の多少が分岐点になります。その点を踏まえたうえで、第一段階としての私大文系か私大理系・国公立かの選択をしてほしいと思います。私大文系は前回も書きましたので重複は避けますが、基礎学力を身に付けることを重点に一年間、みっちりと反復学習を続ければ、大方の人は合格圏内の学力を身に付けることができます。早大、慶大、上智といったトップレベルの大学も夢ではありません。
一方、国公立大学や難関私大の理系や医学部となると、三年生の新学期を機に受験勉強を始めるのでは、かなり厳しいのが現実です。理由は、指摘するまでもありません。受験すべき科目が六教科九科目もある国公立大学の場合、その勉強量は膨大です。六教科九科目を完全に理解し、中には徹底的に暗記しなければいけない科目もあります。そう考えると、一年は短すぎる。国公立を志望するならば、すでに一日の猶予もありません。
また、数学の配点が高い難関私大の理系に合格するには、数学の克服が絶対条件になります。数学が不得意な人が合格圏内にまで学力を高めるとなると、時間的な条件は国公立と同じといえます。新学期から受験勉強を始め、一年後の受験で理数系の難関校、合格を目指すには、文系志望者に比べ不得意な人が多い暗記科目を重視しなければなりません。とくに力を入れてほしいのが数学同様に配点が高い英語。基本をガッチリ固め、得意科目で勝つ要領で、私大文系の三倍の勉強量をこなすことが必要です。現役生は休日も惜しんで受験勉強に傾注することに尽きると思います。